第13章 約束
 
 
 世界の中心の帰還後、ローズはずっと歩いていた。
 そして、頑固な森と再会した。
 
 森を抜けるため歩いているローズはこの森との会話を楽しもうと、声をかけた。
(……久しぶりですね。約束通り来ました)
 自信に満ちた声で話しかけた。
(……約束通りか。……全てを終えることができたのか?)
 重い声が響いてくる。
(はい、できました。世界の中心は言葉で表せないほどの感動でした)
(そのようだな。……見れば分かる。以前会った時よりもお主の知が深味を増している)
 森は内面を見るのが人間より上手である。
(そうですか? 本当にありがとうございます)
 深々と礼を言った。
(いいや、よい。こちらもいいものを見せてもらった。礼を言う)
 頑固な森が礼を言った。ローズはそれに微かに笑みを浮かべた。
(……それじゃ、もう行きます……また会える時までお元気で)
 別れを告げる。
(……あぁ。お主もな)
 重い声も別れを告げる。
 そして、ローズはこの森を抜けて行く。
 
 荒野を再び歩くローズはふと立ち止まり伸びをする。
「さてと行きますか」
 空を見上げ、声を上げる。
 また、一歩一歩と歩き出す。
 彼女の向かう地は、深緑街であった。