第4章 手紙
 
 
 子猫に会ってから二日後。街はいつもにように昼の平和を保っていた。
 しかし、平和ではない雰囲気が漂う家があった。
 その家のチャイムが鳴り響き、事件の真実を知る者が集まった。
 
 偉大な呪術師の屋敷に常連客の魔女がいつものように暇潰しをしに訪れた。
 チャイムをならして少し待つとドアが開き、主が現れた。
「今日はどうしたんですか? 魔女」
 屋敷の主は少し嫌そうに訊ねた。これまでの付き合いで厄介な記憶しかないので自然と顔色が不機嫌になってしまう。
「あら、そんな邪険な言い方しなくてもいいんじゃないかしら。あなたの様子を見に来たのに」
 言葉には一つも言葉通りの思いが込められていないせいかとてもわざとらしく聞こえる。
「私は元気ですから帰って下さい。あなたに関わるとろくな事はありませんから。それに手紙を出さなければならないので」
 彼女を入れてうんざりな時間を過ごしたくないのでさっさと追い払おうとした。
「もしかして、子猫ちゃんのことを大賢者君に知らせるつもりかしら」
 まだ素直には帰らず、偉大な呪術師の言葉に引っかかりさらに訊ねる。
「えぇ、そうです。だから、あなたの相手をしている暇はありませんから。どうぞ、お帰りになって下さい」
 黙っていても仕方がないので素直に話した。
「はいはい。今日は帰るわ」
 これ以上いても屋敷の中に入れてくれそうにないと悟ったのか背を向けてつまらなさそうに帰って行った。
「ふぅ、全くいつもと変わらないのはあの人だけですね」 
 去って行く小悪魔の背中を忌々しそう見送ってからドアを閉め、手紙を持って再びドアを開けた。
 彼の送った手紙は三日後に無事、相手へと届いた。