第5章 事件収拾と残り火
 
 
 呪術師の都からの手紙が届いた今朝。大賢者の君は事件解決を知った。
「さすが魔女だな」
「すごいなぁ」
 いつものようにやって来た二人の友人も手紙を読み、安心していた。
「多分これで大丈夫だね、焔」
 歪みの者に遭遇した焔に言葉をかけた。
「あぁ、このこと他の奴らにも確認してみた方がいいな。この都も呪術師がいるしな」
 事件解決の安心からこれからのことを考え始めていた。喜ぶだけでは街の安心は戻らない。
「呪術師がこのことを知らなかったら話さないといけないしね」
 緑樹も同じようにうなずいた。この街の人々だけではなく実家にも知らせなければと思っている。
「本当に事件解決ならみんな安心するだろうね。でもこれで本当に終わりだったらいいけど」
 解決したことは少し時間が経過しなければ分からない。夢での犠牲者の数だけが唯一の解決の目安なので。歪んだ夢は終わったというのに手応えがない。事件発生が夢だったせいなのかもしれないが、いまだ分からないことも残っている。歪みの者がどのような存在だったのか。そのことは手紙にも書いてあった。事件解決は時間を見て確認してくれと彼の存在だけは安心しない方がいいと。
「まぁな、キャッツのことも死人使いのこともあるしな。他の街は呪術師や賢人が知らせるだろうし。知らせなくても収まるだろうけどな。時間が経てば」
 違い目の民のこと死人使いのことなど様々な事件のことを思い出していた。起きて解決はしたがまだ完全には解決していない事件。とりあえずの平和でもいい。日常が戻るのなら。
「流行の病気みたいな」
 緑樹がいつもの軽い口調で二人の会話に加わった。今回の事件が余韻を残しているのは賢者の彼もよく知っている。
「だな。とりあえず、やることはしておかねぇとな」
 話すことも終わり、やるべきことだけになった焔は立ち上がった。
「だったら僕も行くよ」
 緑樹も急いで立ち上がり、二人揃って出て行った。
「うん。気をつけて」
 君は出て行く二人をいつものように見送った。
 友人達が無事であることにほっとしながら。
 
 この頃、歴史家の聖地にも事件解決を知る歴史家がおり、大賢者の君達と同じ疑問を抱えていた。
 事件解決の話は呪術師の都では魔女の依頼人が話し、その報告が駆け抜ける方が早かったため賢人の都では焔や緑樹が動くよりも少し早く呪術師や賢人達が賢人総会で話し合いが行われていた。時間経過で事件解決を確認すると。
 どこもかも事件収拾に向かっていた。